![]() 派遣会社は、労働者派遣法で定められた書類を作成・保管する義務があります。具体的には、労働者派遣契約書や雇用契約書(労働条件通知・就業条件明示)、派遣元管理台帳などがあります。また、契約締結前に派遣先から抵触日通知などを回収する必要があります。 労働局は定期指導を通じて、これらの書類の作成・管理・保管状況をチェックし不備がある場合は、是正指導を行っています。指導監督・文書指導件数は、年々増加傾向にあります。最近の特徴としては、派遣元事業主に加え派遣先への指導監督件数も増えています。派遣元事業主が重要事項で是正指導された場合は、取引している派遣先へも定期指導されることになるので注意が必要です。 以下の図は、厚生労働省が公表した「令和5年度労働者派遣事業に係る指導監督実施件数」です。指導監督実施件数も増えていますが、文祖指導件数が令和3年度に倍増し、令和5年度まで高止まりしていることがわかります。これは、令和2年4月1日に施行された改正労働者派遣法による同一労働同一賃金制度の影響だと思われます。 ![]() 毎年4月に公開される地方労働行政運営方針でも、民間人材サービス事業者の適正な運営の推進の取組事項に「労働者派遣事業者へ厳正な指導監督を実施していく」ことが記されています。指導監督のポイントは、従来定期指導で確認している備付書類のチェックに加え、前述の同一労働同一賃金の遵守の徹底、雇用安定措置並びにキャリア形成支援制度への取り組みが中心となります。 法律の要件ですから、不備があることは本来許されないことですが、行政は、まず最初は、是正してもらい法に沿った書類を作成してもらいたいと考えています。是正しても従わなかったり、同じ問題を繰り返す事業所に対しては、業務改善命令や事業停止命令などの行政処分を下すことになります。 このように行政に指導されない体制を構築することに加え、近年増えているのは、契約書の不備による派遣先とのトラブルです。労働局は、基本契約書の内容を確認しませんが、基本契約書には、起こり得るトラブルを想定して、自社を守るための規定を盛り込んでおくことが必要です。契約書をリスクマネジメントに活用し、不当に損害賠償請求をされないように、一方的にすべての責任を負わされないようにしたいものです。 また、近年、派遣事業に加え、企業の採用意欲が高まり、有料職業紹介事業の利用も増えています。それに伴い、職業安定法の改正も相次いでおり、有料職業紹介事業者への定期指導も増えています。 皆様におかれましては、外部の目を入れて、ご指摘させていただいた点がクリアにされているかどうか確認し、法的にも、実務的にも不備のない状況にしておくことをお勧めします。そのために、匠ソリューションズでは、内部監査実施サポートをご利用いただければと思います。 【内部監査支援サポートについて1.内部監査を実施する目的 (1)労働局の定期指導時にチェックされる書類の確認 必要書類の内容・管理体制に不備がないか、不備がある場合は、どう改訂すればよいか、必要書類に不足はないかについてご指導させていただきます。 (2)トラブル回避 規定された内容は、トラブル回避できる内容になっているかを確認させていただきます。 (例)基本契約書、個別契約書等 (3)管理・保管体制の確認 実際、必要書類が事業所内で、どのように管理・保管されているか確認させていただきます。 2.労働局調査で問題があればどうなるのか 労働局調査の結果、労働者派遣法に違反していた、または法律違反ではないが改善したほうがよい場合、次の書類で警告されます。 ①是正勧告書:労働状況などが法律を違反しているとき ②指導票:法律には違反していないものの、改善してほしいケース いずれの場合も、はじめは警告の意味合いで書類が発行されるため、勧告・指導に沿って指摘箇所を改善すれば問題はありません。 3.確認する書類について (1)労働者派遣事業 ①労働者派遣個別契約書 ②派遣社員の就業状況がわかる書類等 ③派遣元管理台帳 ④抵触日通知書・抵触日延長通知書 ⑤労働条件通知書 ⑥就業条件明示書 ⑦派遣先通知書 ⑧時間外・休日労働に関する協定届(36協定) ⑨「マージン率等の情報提供」に関係する資料 ⑩「待遇に関する事項等の説明」に関係する資料(労使協定方式等を含む) ⑪キャリアアップ教育訓練に関する資料 ⑫雇用安定措置に関する資料 ⑬基本契約書 ⑭派遣先管理台帳(派遣元で作成している場合) ⑮個人情報適正管理規定 ⑯派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引き ※①、④、⑤、⑥、⑦の書類については、無期派遣・有期派遣それぞれご用意ください。 (2)有料職業紹介事業 ①求人管理簿 ②求職管理簿 ③手数料管理簿 ④業務の運営に関する規定 ⑤個人情報適正管理規定 ⑥手数料表 ⑦返戻金制度 ⑧求人者が求人不受理事由に該当するか否かを確認するための自己申告書 ⑨職業紹介時の求職者への労働条件等の明示書類(求人票、募集要項等) ⑩求人者及び求職者に明示している取扱職種の範囲等の明示に係る書類 4.監査方法、スケジュールについて 今回の内部監査では、上記、派遣元・派遣先が調査される際に、また有料職業紹介について労働局に確認される書類とその管理状況、内部監査チェックリストに基づいて確認させていただきます。 監査実施については、事前監査、本監査の2回に分けて実施します。 ① 事前監査 本監査実施前に、労働者派遣事業・職業紹介事業に必要な書類(上記の下線を付けた書類)をメール等でお送りいただき、本監査実施までにチェックさせていただきます。 ② 本監査 監査事業所をお選びいただき、現地で、備付の義務がある書類の管理・保管状況を確認させていただきます。事業所すべてを回り確認することも可能です。 5.監査費用(本監査事業所が1か所の場合) ※監査事業所が複数になる場合は、別途お見積りさせていただきます。 (1)労働者派遣事業(税別) 一般:150,000円 BP会会員:120,000円 (2)有料職業紹介事業(税別) 一般:120、000円 BP会会員:100,000円 別途、交通費(宿泊を伴う場合は宿泊費)が必要となります。 ※入金確認後、事前監査に入らせていただきます。
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