社会人基礎力とは?

社会人基礎力とは?

 2006年(平成18年)2月、経済産業省は、「職場や社会の中で多様な人々とともに仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、「社会人基礎力」の概念を発表しました。

 「社会人基礎力」は、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」という“3つの力”と、それらを構成する「主体性」「課題発見力」「発信力」といった12の具体的な能力要素のことを指します(社会人基礎力は、「ビジネスマナー」や「慣習」といったものではありません)。

              <社会人基礎力(3つの力/12の要素)>

<社会人基礎力(3つの力/12の要素)>

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 社会人基礎力は、基礎学力、専門知識、人間性をつなぎ循環的に向上する

 社会人基礎力だけばあれば、十分というものではありません。社会で働くためには、読み書き・計算・ITスキルなどの「基礎学力」や、仕事に必要な知識・技能などの「専門知識」が必要です。

 派遣労働者でいうと、読み・書き・計算や、Word・Excelなどオフィスで日常的に使われるITスキルが「基礎学力」にあたります。また、基礎的なITスキルをふまえ、さらに高度な操作や、仕事の範囲を広げるための貿易事務や経理事務の知識が「専門知識」にあたります。

 さらに、一個の人間として社会生活を送るための責任感や思いやり、公共心、倫理観、基礎的なマナー、一般常識・教養などの「人間性・基本的な生活習慣」は、全ての活動の基礎となります。

 例えば、「専門知識」を身につけることによって、仕事に「主体性」を持って取り組むことができるようになり、その結果、より高い活躍ができるようになるといえるのです。つまり、能力としての「社会人基礎力」は、それだけを単独に高めるというのではなく、良い経験や活動をすることによって、循環的に向上するものと考えられているのです。

今、社会(企業)で求められている力

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 複線型キャリアの時代だから必要となる「社会人基礎力」と自分の強み・弱みへの理解不足

 一度就職したら生涯同じ職業を継続するといった直線型キャリアは、過去の時代のものになりつつあります。これからは、個人が生涯キャリアの中で、転職、復学、復職・再就職など、積極的に自らを活かせる場所を探していく複線型キャリアが増えてきます。こうした時代の変化に応じて最も重要となるのが、職業にかかわらず求められる「社会人基礎力」です。

 「社会人基礎力」は、誰もが備えているものですが、12の要素別に個人の強み・弱みには差があります。また、個別の職業によって求められる12の能力要素やそのレベルは異なります。もし、個人としての強みがある「社会人基礎力」と個別の職業が求める「社会人基礎力」がずれていたらどうなるでしょうか?

 しかも若者は、社会に近づくにつれて、自分の強みがわからなくなり、目標を喪失し、就きたい職業を見出せなくなっています。こうした状況で、果たして自分の能力を発揮できる職業を見つけること、さらには、その職場で最大限に能力を発揮することは可能なのでしょうか。



 「社会人基礎力」を意識し、自分の強み・弱みに気付くことでキャリアの可能性は大きく広がる。

 求職者は、基礎学力や専門知識を学ぶとともに、自分の「社会人基礎力」の強み・弱みを知り、それを伸ばすことが大切です。自分の「社会人基礎力」の強み・弱みを知ることにより、自分を理解するとともに、自分の就きたい職業で求められる能力と比べることで、より納得して就職でき、自分の強みを活かした充実感のある職業生活をおくることができます。

 社会人は、会社での業績を通じて「社会人基礎力」が育成されます。その場面で、自分の強み・弱みを意識して取り組むか否かで「社会人基礎力」の成長の度合いには大きな差がつきます。

 自らの特徴を知り、これからのキャリアを想定して、意識的に社会人基礎力を含めた能力向上に努めることによって、キャリアの可能性が飛躍的に広がるのです。

 派遣会社としての社会人基礎力活用法


  派遣で求められる人材は、25〜35歳と若い年齢層がその中心となっています。しかし、派遣労働者は、必ずしも就職時に希望をかなえ、その能力を発揮できた人たちばかりとは限りません。

 コーディネーターは、まず社会人基礎力という指標を用い、自分の強みと弱みをつかんでもらい、前職でその能力を発揮できたかどうかチェックすることから始めましょう。

 同時に、営業は、クライアント企業をまわって、派遣社員を活用するにあたって、必要とされる能力の指標を明確にしていくことを心がけてください。そこを確認しておかないと派遣労働者は、本来の能力を発揮できず、キャリア形成につながらないおそれがあります。

 社会人基礎力の活用法を企業に提案するにあたり、単に自社の求める人物像を社会人基礎力という共通言語で表現するだけでも採用基準が明確になり、派遣会社も人選する上で、ミスマッチを防ぐことができることを強調すると良いでしょう。

 派遣就業を通じて育成される社会人基礎力

 企業から求める人物像を明確にし、派遣会社がそれに基づく教育・アドバイスを行ない、社会人基礎力を育成する。それに企業側が評価を与えることで、派遣労働者は社会人基礎力をさらに向上させていこうという取組みが進むのです。

 このことが、向上心をもつインセンティブにつながり、派遣労働者の育成につながるのです。まずは、月1回のアフターフォロー時に、社会人基礎力の振り返りをスタッフと始めてみてはいかがでしょうか!

 

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